2026.01.28

北栄町役場パワハラ減給処分。「入室妨害」は指導ではなく排除、初動対応と再発防止の設計が問われる|一般社団法人クレア人財育英協会

【出典】特定の部下の職員に威圧的な言動 執務を行う部屋に荷物などを投げ込み室内に入れなくするなど 男性職員を減給処分 鳥取県北栄町


北栄町が男性職員を減給処分──威圧的言動と入室妨害をパワハラ認定

鳥取県北栄町は、50代の男性職員が特定の部下に対し、威圧的な言動を繰り返すなどして精神的苦痛を与えたとして、2026年1月26日付で減給10分の1、2か月の懲戒処分を行ったと発表しました。
町によると、男性職員は部下に対する威圧的な言動に加え、部下が執務を行う部屋に荷物などを投げ込み、室内に入れない状況をつくるなどの行為があったとされています。
被害を受けた部下職員は精神疾患で病休中と報じられています。


「荷物を投げ込み入れなくする」は、空間で相手を支配するパワハラ

パワハラは暴言や叱責だけではありません。仕事をする場から排除する、入室できない状況をつくるといった行為は、相手の尊厳と就業環境を直接壊します。
同僚や上司の目が届きにくい空間で起きると、被害者は「言っても信じてもらえない」「さらに悪化するかもしれない」と感じ、沈黙しやすくなります。
その結果、メンタル不調や病休へつながるリスクが高いタイプのハラスメントです。


2025年9月に所属長が相談、執務場所を分ける対応も──初動の質が問われる

報道では、2025年9月に処分対象者の所属長から相談があり、町は当該職員と被害職員の執務場所を離すなどの対応を行っていたとされています。
分離対応は被害拡大を防ぐ有効な初動になり得ます。一方で、被害職員が精神疾患で病休中という結果を見ると、相談が入った時点での保護、記録、聞き取り、再発防止までの一連の運用が、十分に機能していたかが次の焦点になります。
自治体のカスハラ対策が進む一方で、職場内のパワハラ対策は「個別事案処理」に留まりやすい現実もあります。今回の処分は、組織としての統制を再点検する契機でもあります。


雇用クリーンプランナー(KCP)の視点──「排除型パワハラ」を止める3つの設計

第一に、入室妨害や物を投げ込む行為を「指導」や「トラブル」として曖昧にせず、ハラスメントとして明確に扱うことです。言葉より先に空間で支配する行為は、心理的安全性を一撃で壊します。禁止行為として明文化し、起きた瞬間に管理職が介入できる状態をつくる必要があります。

第二に、初動対応を個人技にしないことです。相談が入ったら、事実の記録、関係者の安全確保、聞き取りの期限設定、暫定措置の実施、再発防止策の提示までを、ルールとして回す。誰が担当になっても同じ品質で動けるフローが必要です。

第三に、管理職の責任を「雰囲気づくり」ではなく運用で担保することです。早期に兆候を拾える職場サーベイ、相談窓口の周知、報復防止、配置や指揮命令系統の調整など、管理職が動ける道具を組織が用意する。止める人が損をしない設計が、再発防止の現実解になります。


結語:言葉の暴力だけでなく「空間の暴力」に線を引く

入室妨害は、相手の働く権利を奪う行為です。北栄町がパワハラとして認定し処分したことは、言葉だけでなく「排除」もハラスメントであるという線引きを示した点で重要です。
一方で、再発防止は処分だけでは成立しません。相談が入った瞬間に守れる初動、記録と検証、管理職が止められる運用を整えて初めて、職場は変わります。
一般社団法人クレア人財育英協会は、自治体が職員の尊厳と市民サービスの質を同時に守れるよう、パワハラ対策を制度として実装する支援を続けていきます。

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