2025.12.16

全国初の“制裁付きカスハラ条例”で2件目の認定──三重県桑名市、入院患者による看護師への「治療費肩代わり要求」をカスタマーハラスメントと判断

【出典】全国初“カスハラ条例”の三重・桑名市 入院患者の行為を2件目として認定 看護師に治療費の肩代わり要求


三重県桑名市、“制裁措置付きカスハラ防止条例”で医療現場の行為をカスハラ認定

全国初の制裁措置付きカスタマーハラスメント防止条例を施行している三重県桑名市が、市内医療機関の入院患者による看護師への治療費肩代わり要求を「カスタマーハラスメント(カスハラ)」と認定しました。
条例施行後、市に寄せられたカスハラ相談は17件で、公式にカスハラ認定されたのはこれで2件目となります。


同室者の独り言を「虐待だ」と非難、謝罪後も看護師に治療費請求

桑名市によると、2025年11月、市内の病院に入院していた患者が、同室者の独り言が原因で不眠になったと訴え、「不眠になったことは虐待だ」などと発言しました。
病院側が説明と謝罪を行ったにもかかわらず、患者は看護師に対し自身の治療費を払うよう要求するなど、執拗な要求を続けたとされています。

桑名市は、

  • 要求に妥当性がないこと
  • 言動の態様が社会通念上不相当であること

を理由に、この患者の行為をカスタマーハラスメント行為として認定しました。


警告書を送付、従わなければ氏名・住所を公表も

条例に基づき、市は患者に対して警告書を送付しました。
この警告に従わず、今後もカスハラ行為が続く場合は、制裁措置として患者の氏名や住所を市のホームページ等で公表することができる仕組みです。
全国的にも、カスハラ行為者の氏名公表まで踏み込む条例はまだ少なく、桑名市の取り組みは「公的サービスを守るための強いメッセージ」として注目されています。


医療現場を守るカスハラ対策──「患者だから何を言ってもいい」は通用しない

今回の事案は、医療現場における患者から医療従事者へのカスタマーハラスメントが、具体的に条例運用の対象となった点で重要です。
不眠などのつらさを訴えることは当然の権利ですが、謝罪後も看護師個人に治療費負担を要求する行為は、合理性を欠く不当要求であり、医療者の尊厳を傷つけ、現場の安全な就業環境を損ないます。
「患者だから」「お客さまだから」といった理由で、暴言や不当要求が許されるわけではありません。


雇用クリーンプランナー(KCP)の視点──医療・福祉現場のカスハラ対策モデルとして

桑名市のケースは、医療機関・自治体・民間企業がカスハラ対策を進める上で、次のような示唆を与えています。

① 医療現場のカスハラを「見える化」し、条文化する

  • 患者・家族からの暴言・過度な要求・不当な賠償請求などを、院内規程や自治体条例で明確にカスハラとして定義する。
  • 医療者側の「我慢」で処理せず、記録・共有・エスカレーションのルートを標準化する。

② 制裁措置付き条例は「抑止力」として有効

  • 氏名公表や損害賠償請求など、一定の制裁オプションがあることで、悪質なカスハラ行為を抑止しやすくなる。
  • 同時に、「どこからが公表対象か」「どのようなプロセスで判断するか」を透明に示すことが重要。

③ 「不満の表明」と「ハラスメント」の線引きを共有する

  • 不眠や不安を訴えることは患者の権利であり、医療者は真摯に耳を傾ける必要がある。
  • しかし、個人攻撃や不合理な金銭要求は「不満」ではなくハラスメントであることを、患者・家族・市民と共有する。

結語:患者の声も、看護師の尊厳も守るために

今回の桑名市の判断は、「患者の訴えを聞くこと」と「医療従事者を守ること」が対立するものではなく、どちらも守るためにカスハラに線を引く必要があることを示しています。
雇用クリーンプランナー(KCP)は、医療・福祉・行政など、感情労働の負荷が高い現場でこそ、カスハラ防止条例や院内ルールの整備を進め、「意見は歓迎、ハラスメントはNO」と言える文化づくりを支援していきます。

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