2025.11.28
住友生命が「転勤手当」を大幅増額──中堅以上に最大60万円支給、人材流出防止と全国拠点維持へ
【出典】日本経済新聞(2025年11月配信)
「転勤手当」最大60万円に、住友生命が中堅以上対象に…離職防止・全国の拠点維持へ大幅増
中堅以上の転勤手当を最大60万円に増額
住友生命保険は、2026年4月から中堅以上の社員を対象に、転居を伴う異動時の転勤手当を大幅増額します。
転勤後3年間にわたり、年2回の賞与それぞれに10万円を上乗せし、合計で最大60万円を支給する仕組みです。
現在は一時金として6万~7万5000円程度の支給にとどまっており、大幅な待遇改善となります。
若手も初回賞与に10万円加算、転勤インセンティブを強化
入社10年程度の中堅社員以上が主な対象となりますが、若手社員についても転勤後の最初の賞与に10万円を加算する方向で見直します。
現行の若手向け転勤手当は上限5万5000円で、こちらもインセンティブ強化を図ります。
離職防止と全国拠点維持がねらい
結婚や出産、子どもの進学などライフイベントの増加に伴い、転勤を望まない社員が増えています。
住友生命は、転勤負担を手当で部分的に補うことで離職を防ぎ、優秀な人材の異動を円滑にして全国の営業拠点を維持したい考えです。
転勤を「一方的な命令」ではなく、「選択可能なキャリア機会」として位置づけ直す狙いも読み取れます。
雇用クリーンプランナー(KCP)の視点──転勤を「強制」から「交渉可能な条件」へ
転勤はこれまで、日本企業で暗黙の義務として扱われがちでした。
今回のような手当増額は、転勤の負担を可視化し、条件を明示する意味で一歩前進と言えます。
ただし、制度を機能させるには次の三点が重要です。
① 手当とセットで「拒否の権利」をどう設計するか
手当を増やすだけでなく、家庭事情等による正当な拒否のルールや異動希望の申告制度を整えること。
② キャリアステップとしての転勤を明確にする
「行けば得するのか」「評価にどう効くか」を明文化し、納得感のあるキャリアパスとして位置づけること。
③ ライフイベントとの両立支援
単身赴任手当やリモートワーク併用など、家族との生活を守る制度と組み合わせて運用すること。
結語:人を動かす前に、「人生」への影響を設計する
転勤手当の増額は、数字以上に「会社が負担を理解しようとしているサイン」でもあります。
一方的な異動から、対話と選択に基づくキャリア設計へ。
KCPは、社員の生活とキャリアの両方を尊重する人事制度づくりを通じて、「動かされる転勤」から「納得して選ぶ転勤」への転換を支援していきます。
