2026.02.17
新居浜市議が「議会内パワハラの可能性」。議会の監視機能を萎縮させる圧力はパワハラになり得る|一般社団法人クレア人財育英協会
【出典】「議会内でパワーハラスメント」訴え、議長に対応求める申出書…愛媛・新居浜市議会
新居浜市議が「議会内パワハラの可能性」訴え、議長に申出書
愛媛県新居浜市議会の伊藤義男市議(1期目、参政党)が2026年2月16日、「議会内のパワーハラスメントに該当する可能性がある」として、議長に対応を求める申出書を提出したと報じられました。
伊藤市議は、市に対して住民監査請求や情報公開請求を行ったところ、所属会派の代表から「取り下げるか、会派を離脱するか」という二者択一を迫られたと訴えています。伊藤市議は「市議には市民のため行政を監視する責任がある。正当な権利行使の放棄を迫る圧力と感じた」と述べています。
会派は解散──代表市議は「議員としてのやり方」発言を認める
伊藤市議が所属していた会派は「自参改革クラブ」(3人)で、同日、解散を届け出たとされています。代表だった山本健十郎市議(10期目、無所属)は取材に対し、「議員としてのやり方があるんじゃないか、という内容の発言はした」と説明しつつ、「解散は自然な流れだった」と述べています。
申出書によれば、伊藤市議は1月上旬に住民監査請求や情報公開請求を行い、1月20日に山本市議から「いろんなところに迷惑がかかっている」と言われ、取り下げに応じない場合は会派離脱を促されたとしています。
この問題の本質──「上下関係」より「権利行使の妨害」が議会を壊す
一般の職場パワハラは、上司と部下などの明確な上下関係が前提になりがちです。しかし議会の場では、形式上は「同じ議員」でも、会派内の力学や当選回数、役職、情報量、議会運営の発言力などによって優越が生まれます。
今回の訴えが重いのは、単なる言い争いではなく、「情報公開請求や住民監査請求という正当な手段」を取ったことに対し、会派内で“撤回か離脱か”という圧力がかかったとされる点です。これが事実であれば、個人の不利益だけでなく、議会が本来持つ行政監視機能そのものが萎縮する危険があります。
議会内の圧力は、外から見えにくい。だからこそ、ひとたび「迷惑だ」「やめろ」といった言葉が、正当な権利行使を封じる方向に働けば、議会が“監視機関”から“同調機関”へ転落しかねません。
雇用クリーンプランナー(KCP)の視点──議会ハラスメントは「民主主義の安全配慮義務」
この事案は、企業のパワハラとは違う意味で、組織の安全性が問われています。議会の職場は「市民の代理人が議論する場」であり、異論や監視は本来、制度に内蔵された機能です。そこを封じる圧力があるなら、それは個人のハラスメントを超えて、民主主義の設計不良になります。
雇用クリーンプランナー(KCP)の視点では、再発防止の焦点は次の3点です。
第一に、議会内ハラスメントの基準と手続きを明文化することです。何が不適切な圧力に当たるのか、会派内の言動でも対象になるのか、申し出があった場合に誰がどう調査し、どこまで公表するのか。基準がないと「政治的な揉め事」として曖昧に処理されます。
第二に、正当な権利行使を理由とする不利益取り扱いを禁止することです。住民監査請求や情報公開請求は、議員としての監視行為であり、これを理由に排除するなら、議会の役割が崩れます。「やったら居場所がなくなる」空気を作らない仕組みが必要です。
第三に、異論を言える環境の整備です。議会では多数派の空気が強くなるほど、異論が「迷惑」扱いされやすい。議長の役割は議事整理だけでなく、議会内の心理的安全性を守ることでもあります。相談導線の整備と、申し出を受け止める姿勢が求められます。
結語:「監視する権利」を守れない議会は、市民を守れない
行政監視は、議員の“わがまま”ではなく、市民から委ねられた職責です。情報公開請求や住民監査請求をめぐって、会派内で二者択一を迫る圧力が生まれるなら、議会の監視機能は縮みます。
今回の申出が、単なる会派内対立で終わるのか、それとも議会として「権利行使を萎縮させない仕組み」を整える転機になるのか。一般社団法人クレア人財育英協会は、職場としての議会にもハラスメント防止の設計が必要であるという視点から、制度と運用の整備を支援していきます。
