2026.02.14

倉敷市民病院パワハラ処分。「大声の指導」が医療安全を壊す瞬間|一般社団法人クレア人財育英協会

【出典】倉敷市民病院看護部の課長補佐級の女性職員(60)を懲戒処分 他の職員がいる中で大声で叱責するパワハラ行為【岡山】


倉敷市が看護部の管理職を懲戒処分──減給10分の1・6か月

倉敷市は、倉敷市立市民病院の看護部でパワーハラスメント行為があったとして、女性職員2人に対する処分を発表しました。パワハラ行為を行ったとされる看護部の課長補佐級の女性職員(60)は、減給10分の1・6か月の懲戒処分となりました。

倉敷市によると、当該職員は2025年4月以降、部下の女性職員に対し、他の職員がいる中で人格を否定するような内容を伴い大声で叱責するなどの行為を行ったとされています。被害を受けた部下職員は、心的ストレスにより精神疾患を患ったと報じられています。


上司側にも責任──管理監督の次長級女性は文書厳重注意

今回の発表では、加害行為をしたとされる課長補佐級職員だけでなく、その管理監督の立場にあった次長級の女性職員(58)も、文書厳重注意を受けています。倉敷市は、監督責任の観点から上位職にも一定の責任があると判断した形です。

市立病院の渡辺育男事務局長は「職員の指導を徹底し、再発防止に取り組む」とコメントしています。医療現場では「指導」と「威圧」が混同されがちですが、今回の処分は「大声での公開叱責」がパワハラとして明確に扱われた事例と言えます。


公開の場での大声叱責はなぜ危険か──萎縮が連鎖し、医療安全にも影響する

医療現場は緊張度が高く、ミスを防ぐための確認や指導が不可欠です。しかし、その指導が「他の職員がいる前での人格否定」「大声での叱責」になった瞬間、現場は学習ではなく萎縮に傾きます。

公開叱責が常態化すると、被害者だけでなく周囲も「次は自分かもしれない」と感じ、報告・相談・確認が遅れます。看護の現場では、ヒヤリハットの共有やチーム連携が患者安全の根幹です。恐怖による統制は、一見すると“締まった職場”に見えて、実際には医療事故のリスクを上げます。


雇用クリーンプランナー(KCP)の視点──「怒鳴らない指導」を現場に落とす三つの設計

この事案を「一人の管理職の資質問題」に押し込めると、再発は止まりません。雇用クリーンプランナー(KCP)の視点では、再発防止の焦点は次の3点です。

第一に、指導の標準化です。叱責の強さに頼らず、手順・チェックリスト・OJT設計を整えて、誰が教えても同じ品質になる形にする。指導が属人的だと、忙しさや疲労の中で感情が混ざりやすくなります。

第二に、公開叱責の禁止と、フィードバックの場の設計です。指導は必要でも、人格否定を伴う公開叱責は不要です。注意や振り返りは、個別面談や記録に基づくフィードバックとして行い、場面と方法を組織で決める必要があります。

第三に、管理職の監督責任を「叱ったかどうか」ではなく「止めたかどうか」で評価することです。今回、次長級に文書厳重注意が出たことは、見て見ぬふりを許さないメッセージになります。日常的に兆候を拾い、早期介入し、当事者を孤立させない運用が、医療現場の心理的安全性を守ります。


結語:医療現場の厳しさは「声量」ではなく「仕組み」で担保する

看護の現場には厳しさが必要です。ただし、その厳しさは大声や人格否定で実現するものではありません。手順を整え、対話を回し、ミスを早く見つけて共有できる仕組みこそが、患者と職員を守ります。

倉敷市民病院の今回の処分は、公開叱責を放置しない姿勢を示した点で重要です。一般社団法人クレア人財育英協会は、医療現場が「怒鳴らない指導」を運用として定着させ、職員のメンタルと医療安全を同時に守れるよう、制度設計と現場実装を支援していきます。

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