2026.02.01
26年人事の最重要論点はハラスメント対策。カスハラ義務化と就活セクハラで会社は何を変えるべきか|一般社団法人クレア人財育英協会
【出典】26年の人事、「ハラスメント対策の強化に注目」 パーソル総研主席研究員
2026年の人事は「ハラスメント対策強化」が主戦場になる
日経MJでパーソル総合研究所の小林祐児主席研究員が、2026年の人事で注目すべきテーマとして、ハラスメント対策の強化を挙げています。
特に大きいのは、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策の義務化です。
人手不足の中で、現場に辞められることの経営ダメージが大きくなり、ようやく法制化が進んだという見立てです。
26年10月の改正法施行が、企業にとって現実の締切になります。
サービス職の35.5%がカスハラ経験、転職意向は1.8〜1.9倍
パーソル総研が24年3月に実施した調査では、顧客折衝のあるサービス職の35.5%がカスハラを受けた経験があるとされています。
さらに、カスハラ経験者は非経験者に比べて転職意向が1.8〜1.9倍高いという結果も示されました。
辞めなくても、ストレスと対応時間が業務を圧迫し、現場が回らなくなる。
ここがカスハラの本質的な損失です。
企業の対策は「防ぐ・教える・強くする」の三段設計が要
小林氏は企業が取るべき対策を、三つに整理しています。
この整理は、そのまま社内施策の骨格になります。
まず防ぐ。
啓発ポスターの掲示、名札の撤廃、監視カメラ導入、セルフレジなど省人化対応が挙げられています。
入口で行為を起こしにくくする設計です。
次に教える。
従業員教育と対応のマニュアル化です。
すみません、申し訳ありませんを反射的に繰り返すのではなく、何に対して謝るのかを明確にしたフレーズを使う。
対応する人、場所、時間を変えるのも有効だとされています。
最後に強くする。
カスハラに強い組織をつくる、という視点です。
非正規雇用の増加や人材流動性の高まりで、職場の信頼資産が痩せてきた。
トップが現場を大事にしているというメッセージを出す。
職場コミュニケーションを活性化する。
こうした土台が、現場の耐久力を上げます。
法施行は罰則なしでも「ダメ押し」になる
自治体の防止条例などで、カスハラは許さないという空気が広がってきました。
今回の法施行は罰則規定がないものの、社会的にはダメ押しになる、という見方が示されています。
企業にとっては、やるかどうかではなく、やり切れるかどうかの局面です。
採用の盲点は就活セクハラとインターンの現場
2026年中には、就活生へのセクハラ防止策を企業に義務づける男女雇用機会均等法の施行も予定されています。
厚労省の23年度調査では、インターン中のセクハラ経験が30.1%、それ以外の就活で31.9%という数字が示されています。
インターンがこの5〜10年で激増し、一定期間一緒に働き、終わった後の飲み会もある。
その分、セクハラが起きやすくなっている可能性が指摘されています。
さらにパーソル総研が25年2月に実施した新卒担当者向け調査では、自社の新卒採用でハラスメント(内定者に就職活動の終了を強いるオワハラを含む)が発生したことがあるとした回答が28.3%に達したとされています。
インターンで囲い込もうとするほど、問題が起きた時の評判ダメージは大きい。
一度でも発生すれば、選ばれない会社になる。
ここが採用リスクの核心です。
雇用クリーンプランナー(KCP)の視点──2026年はハラスメント対応を人事の中核業務に戻す
この論点は、研修を増やす話に見えて、実は人材戦略そのものです。
離職防止、現場の生産性、採用ブランドが一気に連動します。
対策の優先順位は明確です。
第一に、現場の守りを先に固めること。
カスハラは対応者の孤立が被害を深くします。
複数対応、記録、エスカレーションを標準化し、現場を一人にしない。
第二に、採用のハラスメントを手続きで封じること。
面接官は訓練を受けていても、社員リクルーターはそうではない。
マニュアル整備とeラーニング、研修で底上げし、飲み会や移動などのグレーな場面を先に潰す。
第三に、トップが現場を守る宣言を運用に変えること。
現場を大事にすると言うだけでは足りません。
困った時に助けが来る仕組みを持つ。
これが信頼資産を回復させます。
結語:2026年は「人が辞めない仕組み」をつくれた会社が勝つ
カスハラと就活セクハラは、パワハラやセクハラとは性質が違います。
しかし共通しているのは、沈黙が続くほど被害が拡大し、最後に人が辞めるという点です。
制度は整いつつあります。
次は、現場で機能させる番です。
一般社団法人クレア人財育英協会は、ハラスメント対策をルールと運用に落とし込み、離職を止め、採用で選ばれる組織づくりを支援していきます。
