2026.01.30
郡山地方消防本部が職員3人を処分。パワハラと勤務中飲酒は「個人の逸脱」ではなく組織統制の失敗|一般社団法人クレア人財育英協会
郡山地方消防本部が職員3人を処分──パワハラと勤務中飲酒、虚偽報告も
郡山地方消防本部は2026年1月29日、部下へのパワーハラスメント(パワハラ)や勤務中の飲酒などがあったとして、職員3人を停職6カ月などの懲戒処分としたと発表しました。処分を受けたのは郡山消防署喜久田基幹分署の30代男性主査(停職6カ月)、40代男性主査(停職4カ月)、50代男性職員(減給10分の1・3カ月)の3人です。
本件は、暴力的な指導や部下への不当要求に加え、勤務中飲酒とその後の虚偽報告が重なった点が特徴です。「現場の規律」を担う消防組織で、規律違反が連鎖的に起きていたことになります。
30代主査:肩や背中を叩く、夕食代を部下に払わせる、飲酒出勤と事務所内飲酒
消防本部によると、30代主査は2024年に部下の男性職員の肩や背中を叩くなどの行為を行い、2025年には勤務中の夕食を部下に購入させ、代金を支払わせるなどのパワハラをしたとされています。
さらに2025年9月、旅行先からの帰宅途中に災害出動で職場が不在になったことを知り、家族の運転で飲酒した状態で出勤。その後、事務所内でも飲酒したとされています。後日の事実確認では「飲酒していない」と虚偽の報告をしており、規律違反に加えて説明責任を放棄する行為が重なりました。
40代主査:強い口調の指導と「目撃したのに注意しない」虚偽報告
40代主査についても、2024年に部下職員の背中を叩く行為があったほか、別の男性職員を複数の職員の前で非常に強い口調で指導したとされています。身体的接触と公開叱責が混在しており、指導の名を借りた威圧が常態化していた可能性があります。
加えて、40代主査は30代主査が事務所で飲酒した現場を目撃しながら注意せず、本部職員からの聞き取りでも虚偽の報告をしたとされています。「止めない」「正直に言わない」という行動が、規律違反を温存させる方向に働いたことになります。
50代職員:事実をねじ曲げるよう指示し、虚偽報告に加担
50代職員は、30代主査が事務所内で飲酒した事実を知りながら、同僚からの追及を逃れるために「事実をねじ曲げるよう指示」したとされています。本部職員による事実確認が行われた際には「飲酒の事実はない」と虚偽報告を行ったとされ、組織内で事実を隠す動きが複数人に広がっていたことが読み取れます。
規律違反そのものよりも、事実を隠し、虚偽で統一しようとする行為は、組織の安全文化を根底から壊します。消防は「信頼」がなければ動けない組織であり、虚偽報告は内部統制の崩壊に直結します。
雇用クリーンプランナー(KCP)の視点──問題は「一人の悪質」ではなく“連鎖”である
今回の事案は、パワハラと飲酒だけでなく、虚偽報告や目撃黙認が絡み合っています。雇用クリーンプランナー(KCP)の視点では、ここに「個人の資質」では説明できない構造が見えます。
第一に、パワハラの形が「叩く」「強い口調」「不当要求(夕食代)」と複合的である点です。これは、単なる失言ではなく、上下関係を使って部下をコントロールする行為が複数の形で表出していることを示します。現場の指導は必要でも、身体的接触や金銭負担の強要は指導ではありません。
第二に、飲酒と虚偽報告がセットで起きている点です。飲酒出勤や事務所内飲酒は、それ自体が重大な規律違反ですが、さらに「飲酒していない」と虚偽報告し、周囲もそれに加担した。ここに「事実を言えない空気」あるいは「守り合う文化」があると、再発防止は処分だけでは難しくなります。
第三に、目撃した側が止めず、組織として早期にブレーキがかからなかった点です。40代主査の目撃黙認、50代職員のねじ曲げ指示は、内部統制にとって致命的です。「止める人」「言う人」が損をする組織では、事故と不祥事は連鎖します。
結語:消防組織に必要なのは「強さ」ではなく「真実を言える規律」
消防の現場には緊張感があり、厳しさも必要です。しかし、その厳しさは怒鳴ることでも、叩くことでも、虚偽で守り合うことでもありません。現場の安全を守る本当の規律は、「止める」「記録する」「正直に報告する」という当たり前を徹底することで成り立ちます。
一般社団法人クレア人財育英協会は、消防・警察・医療など高ストレス職場ほど、パワハラ防止と内部統制をセットで設計し、現場が「真実を言える」組織文化を取り戻す支援を続けていきます。
