2025.12.01
自治体職員が部下の「不機嫌ハラスメント」で休職──舌打ち・無視・あてつけ発言…3万円で和解も課題残る|一般社団法人クレア人財育英協会
【出典】毎日新聞(2025年11月30日配信)
顔背け、舌打ち…部下の「不機嫌ハラスメント」で休職 3万円で和解
舌打ち・無視・あてつけ発言…暴言はなくとも相手を追い詰める「不機嫌ハラスメント」
栃木県内の自治体で働く30代の男性職員が、部下の女性による舌打ち・無視・感情的なあてつけ発言により心身の不調を発症し、休職に追い込まれたことが明らかになりました。
暴力も罵声もない一方、相手に不機嫌や敵意をぶつけ続ける行為は、近年「不機嫌ハラスメント」と呼ばれ、モラルハラスメントの一種として注目されています。
「顔も見たくないので休みます」──職場でのあてつけ発言が続き適応障害に
男性は2024年春、新部署に異動。隣席となった部下の女性から「覚えていません」と舌打ちを交えて返される、提案が採用されると「顔も見たくないので休んでいいですか」と周囲に聞こえるように言われるなどの行為が複数回続きました。
廊下ですれ違う際には顔をそむけ、壁を見るようなそぶりをされることもあり、男性は動悸・味覚障害を発症。医師から「適応障害」と診断され、昨年4~6月に休職しました。
ボイスレコーダーが証拠に──男性が本人訴訟で提訴、3万円で和解
異動後も不安が残った男性は「部下からの攻撃は許されるのか」と疑問を抱き、弁護士相談を経て本人訴訟を決意。
裁判では、当時録音していた音声データが証拠となり、女性が「支払う準備がある」と述べ、最終的に慰謝料3万円で和解が成立しました。
一方、自治体は女性の行為を「不適切」としつつも、処分は行われず定期異動にとどまりました。
「逆パワハラにならない」指摘も──部下からのモラハラは認定ハードルが高い現実
男性は「上司がやればパワハラに該当し得る行為が、部下からなら許されるのか」と訴えています。
弁護士からは「この程度では逆パワハラには当たらない」とされましたが、理不尽な舌打ち・あてつけ・無視といった行動は、加害の意図が曖昧でも相手を確実に消耗させるモラハラの特徴です。
雇用クリーンプランナー(KCP)の視点──「加害の立場」を上下で固定しない仕組みへ
今回の事案は、上下関係が逆でもハラスメントは成立するという当たり前の事実を浮き彫りにしています。
しかし、現場の認定基準や対応体制は、依然として上司→部下のパワハラを前提に組み立てられているのが実態です。
KCPは、組織が次の三点を整えることを提言します。
① 「感情的攻撃」の明文化と通報ルートの整備
舌打ち・無視・あてつけ発言などをハラスメント行為として規程に明記し、立場に関わらず相談できる窓口を確保する。
② 上司・部下を問わない調査プロセスと証拠保全
「逆パワハラ」も含め、録音・記録による客観的判断を徹底し、調査の透明性を担保する。
③ メンタルケアと組織文化の改善
不機嫌・怒り・沈黙を「武器」にしない対話型のチーム文化を醸成する研修・仕組みを導入する。
結語:ハラスメントの本質は「上下」ではなく「関係性の失調」
立場が下でも、人を傷つけうる権力は発生します。
職場の健全性を守るには、行為の大小や立場ではなく、相手の尊厳を侵すかどうかで判断する視点が欠かせません。
KCPは、どの立場からのハラスメントも見逃さない職場づくりを支援し続けます。
