2025.11.28

三重県、全国初の「罰則付きカスハラ防止条例」制定へ──50万円以下の罰金も視野、実効性重視の新制度|一般社団法人クレア人財育英協会

【出典】日本経済新聞(2025年11月22日配信)

三重県、全国初の罰則付きカスハラ防止条例制定へ 26年度にも


全国初、罰則付きカスハラ条例へ──「迷惑行為」に明確な線引き

三重県は、顧客からの過度な暴言・要求などのカスタマーハラスメント(カスハラ)を防止するため、全国で初めて罰則付き条例の制定を進めています。
2026年度成立を目指し、現在、県議会常任委員会で骨子案を説明。
従来の条例が「努力義務」にとどまる中、三重県は実効性と抑止力を重視した仕組みを導入します。


既存法で対処できない「特定カスハラ」を定義、50万円以下の罰金も

県の調査では、この3年間で14.2%の事業者がカスハラ被害を経験。従業員の長期休業や離職につながる深刻事案もありました。
既存の刑法・迷惑防止条例で対応しきれない行為を「特定カスタマーハラスメント」として明確化し、以下を例示しています。

  • 正当な理由なく長時間・反復・虚偽申告などで不安を与え、利益供与や謝罪を要求
  • 対応困難な要求を強要し、正当な権利行使を妨害
  • 卑わいな言動により著しい不快感を与える行為

審査会の意見を踏まえ、知事が禁止命令を出し、それに違反した場合は
「50万円以下の罰金、拘留または科料」を科す方針です。


表現の自由とのバランス、川崎市「ヘイト条例」にならう構成

罰則化に伴い、「正当なクレームまで萎縮させるのでは」との懸念も。
県は、対象行為を厳格に限定しつつ、川崎市のヘイトスピーチ条例の手法を参考に、対象外となる行為を明示し、表現の自由への配慮も盛り込みます。

また、流通、外食、繊維などの労働組合が加盟するUAゼンセンが条例制定を強く求めてきた背景もあり、現場の声を反映した制度設計が期待されます。


消費者保護から「相互責任」へ──社会構造の転換

かつては企業側の優越性が問題視されていましたが、SNSによる不満拡散で、消費者側の過剰要求が新たな社会課題となっています。
三重県の取り組みは、過度な顧客要求に対し、行政が明確に「線引き」を示す転換点といえます。


雇用クリーンプランナー(KCP)の視点──「罰則化」で終わらせない制度運用を

カスハラ対策は、罰則強化だけでは機能しません。KCPは以下の三点を提言します。

① 証拠の保全と対応フローの徹底

録音・記録・相談体制を整え、事業者が迷わず対応できる仕組みを標準化する。

② 従業員メンタルケアと教育

カスハラ被害を受けた際の心理支援、対応トレーニングを実施し、現場負担を軽減する。

③ 消費者との健全な対話文化の育成

正当なクレームは尊重しつつ、不当要求を拒否できる「関係の対等性」を社会全体で育てる。


対立ではなく「共通ルール」で守る社会へ

罰則付き条例は、対立を深めるためではなく、働く人の尊厳と消費者の権利を両立するための道筋です。
KCPは、企業・自治体・住民が「互いの限界」を共有し、共通ルールで社会を守る仕組みづくりを支援します。

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