2026.07.07

【社労士警告】「口頭での言い訳」は完全NGへ。令和8年10月施行ルールで義務化される「非正規への待遇差説明」と企業を襲う“資料作成”の罠|一般社団法人クレア人財育英協会

一般社団法人クレア人財育英協会は、令和8年10月1日に施行される「同一労働同一賃金(パートタイム・有期雇用労働法)」のルール変更に伴い、パート・有期雇用労働者に対する「待遇の相違(待遇差)」の説明義務が厳格化される実態と、企業が取るべき具体的な対策を解説する最新動画を公開いたしました。今回の改正は、令和8年4月28日に公布・告示された「令和8年厚生労働省令第87号」および「厚生労働省告示第201~203号」に基づくものであり、「あなたの仕事は正社員と大差ないよ」といった現場の管理職による口先だけの誤魔化しが明確な法令違反となる時代を迎えます。当協会の特定社会保険労務士・小野純が、先送りの許されない説明用資料(ハンドブック等)の作成実務と、企業が急務で行うべき体制整備について徹底解説します。

▼ 本法改正に関する公式プレスリリースはこちらからご覧いただけます

プレスリリース(PR TIMES)で詳細を確認する

1. 令和8年10月施行、待遇の相違に関する「資料を用いた説明」の義務化

パートタイム・有期雇用労働法では、正社員とパート・有期雇用労働者との間で待遇差がある場合、労働者からの求めに応じて「待遇差の内容や理由」「賃金や教育訓練、福利厚生施設、通常の労働者への転換について考慮した事項」を説明しなければならないと定められています。

令和8年10月1日の改正施行により、労働条件通知書に「説明を求めることができる旨」の記載が義務化されるため、従業員からの説明要求が急増することが予想されます。その際の説明方法として、これまでの口頭のみによる曖昧な対応は完全にNGとなり、以下のいずれかの方法をとることが企業に義務付けられました。

  • 資料を活用し、口頭により説明する:就業規則や賃金規程、客観的な比較資料を手元に用意した上で論理的に説明を行う。
  • 説明すべき事項をすべて記載したわかりやすい内容の資料を交付する:相違の内容や理由、考慮事項が網羅された書面(ハンドブックや説明書面)を従業員に直接手渡す。

2. 説明希望がない場合でも求められる「自主的な周知・資料交付」

今回の改正に際し、厚生労働省の雇用管理指針(告示)では、パート・有期雇用労働者から直接「説明の希望がない場合」であっても、トラブルを未然に防ぐ観点から、契約更新時等に正社員との間の「待遇差の内容や理由」を記載したわかりやすい資料を交付することや、「会社に対していつでも説明を求めることができる」という権利そのものを社内周知することが望ましい(努力義務)と示されました。企業は従業員から問い詰められてから慌てるのではなく、事前に説明用の資料を新たに作り、社内に開示していく姿勢が求められます。

3. 「雇用管理の改善等に関する措置」の変更点(雇用管理指針の改正)

本改正では、説明義務の厳格化の背景として、告示「雇用管理指針」において企業が取り組むべき雇用管理の改善措置についても、以下の通り具体的な方針が追加・厳格化されています。文字にして説明を行う以上、これらの基盤が社内で整備されていることが大前提となります。

  • 職業能力開発法の適用:職務に必要な職業訓練の実施や、教育訓練等の受講機会の援助に努めること。
  • 公正な評価による賃金決定:適切な評価や昇給を行うため、正社員と共通の賃金・評価制度の設置が望ましい。
  • 代表者選定の順守:就業規則の作成・変更時における、過半数代表者の選定要件等のルールを厳格に順守すること。
  • 福利厚生施設の便宜供与:パート・有期雇用労働者が、正社員と同じく各種施設(食堂など)を適切に利用できるよう配慮すること。
  • 話し合いの促進と意見聴取:労使間の話し合いの機会を確保し、アンケート等で非正規社員の意見を聴取する工夫を行う努力。
  • 改善等に関する情報を公表:正社員転換制度やその実績をパート・有期雇用労働者に明示する努力を行い、情報を公表することが望ましい。

4. 会社が今すぐ実行すべき「同一同一対応」4ステップ・17の手順

口先だけの言い訳を排除し、従業員から説明を求められたその日にスッと客観的資料を提示できるよう、企業の人事労務担当者が現場で実践すべき具体的なロードマップです。

【STEP 1】現状把握・分析フェーズ(早期着手推奨)

  • 職務内容の棚卸:正社員・パート・契約社員の職務内容・責任・配置範囲を一覧化(ジョブマッピング)
  • 賃金体系の整理:基本給・手当・賞与・退職金などの支給基準を明文化
  • 福利厚生・教育訓練の整理:利用・受講対象を雇用形態別に確認
  • 不合理な待遇差の洗い出し:同一職務で支給・利用に差がある項目を抽出
  • 労使間の情報共有:労働者代表・労働組合との意見交換を実施

【STEP 2】待遇差の見直し・是正フェーズ(2026年夏までに完了目標)

  • 不合理な差の是正:通勤手当・食堂利用・教育訓練など、職務に関係しない差を解消
  • 賃金・手当の基準見直し:職務・能力・成果に応じた支給基準を設定
  • 賞与・退職金の支給方針検討:同一職務内容の非正規社員にも支給を検討
  • 教育訓練・福利厚生の共通化:職務遂行に必要な訓練・施設利用を全員に提供
  • 労使協定・就業規則の改定:改正法・指針に沿った内容に更新

【STEP 3】説明義務・文書整備フェーズ(施行直前までに完了目標)

  • 待遇差の説明書面作成:採用・契約更新時に交付する「待遇差説明書」を作成
  • 説明体制の整備:管理職・人事担当者への説明研修を実施
  • 労働者からの説明要求対応:要求時に即応できる文書・根拠資料(ハンドブック等)を準備
  • 記録・保存体制:説明書面・比較資料を保存(行政対応に備える)

【STEP 4】運用・フォローアップフェーズ(施行後)

  • 定期的な待遇差点検:年1回程度、職務・待遇の差を再確認
  • 労働者意見の収集:不満・要望をヒアリングし改善に反映
  • 行政指導・報告対応:労働局からの報告徴収・指導に備えた体制整備

5. 待遇差の説明義務に関するよくある疑問と回答

企業の人事労務担当者様から多く寄せられる、新たな説明義務に関する重要ポイントをQ&A形式で整理しました。

Q. 説明用の資料として、既存の「就業規則のコピー」を渡すだけで足りますか?

A. 単なる規則のコピーを丸ごと渡すだけでは、「わかりやすい内容の資料」として不十分とみなされるリスクがあります。
法律および指針が求めているのは、労働者自身が「自分と正社員との待遇の違いの理由」を客観的に理解できることです。難解な条文の羅列を渡すのではなく、職務内容の違いや手当の支給要件を視覚的に比較表にするなど、双方が納得できる「説明用ハンドブック」等の形式で整備することが実務上強く推奨されます。

Q. 現場の店長や部門長が説明を求められた場合、どのようなリスクがありますか?

A. 「個人の裁量による、その場しのぎの口頭説明」が最も危険な労使トラブルを招きます。
窓口担当者が良かれと思って発した「君も正社員と同じくらい頑張っているんだけどね…」といった一言が、後日「同じ仕事・責任なのに待遇が違うのは不合理(違法)だ」という法的主張の強力なエビデンスにされてしまいます。説明を求められた際は、必ず会社が作成した公式資料(ハンドブック)を用いて一貫した回答を行うよう、社内研修の徹底が急務です。

6. 報道関係者・メディア様向け個別取材・質問会のご案内

一般社団法人クレア人財育英協会では、令和8年10月施行の同一労働同一賃金ガイドライン改正対応をはじめ、最新の労働法改正やハラスメント防止対策に関するメディア関係者様からの取材・企画協力を随時承っております。

  • 内容:報道関係者・メディア・企業向け(個別取材・情報提供・コメント寄稿・実務シミュレーションの提示)
  • 日時:随時対応(オンライン対応・電話取材可。貴社のスケジュールに合わせ柔軟に調整いたします)
  • 費用:無料
  • 備考:専門家(特定社労士)としての客観的なデータ提供や、実際に企業が直面している手当見直しの具体事例解説が可能です。

7. 一般社団法人クレア人財育英協会の視点(当協会の役割)

「とりあえず口頭で丸め込んでおけばいい」という過去の労務常識は、令和8年をもって完全に終わりを迎えます。資料化・明文化が義務付けられるということは、企業のあらゆる待遇制度が「誰の目に見ても公平で、論理的であること」を証明しなければならないということです。基本給や各種手当、休暇に及ぶすべての支給目的を明確にし、「合理的な差」であることを書式化(エビデンス化)する作業は、非常に緻密で膨大なものになります。この実務を外部任せにせず、自社内で内製化・推進できる存在こそが、当協会が育成する『雇用クリーンプランナー』です。ハラスメント予防の知識に加え、こうした高度な「労働法の知識・実務資料作成能力」を兼ね備えた有資格者を組織の中心に据えることで、企業は法改正に先回りし、現場の管理職をパニックから守りながら、罰金リスクを回避した本当の意味での「クリーンで持続可能な雇用環境」を構築することができます。


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