2026.07.02
【社労士解説】高い紹介料を払う前に。新卒・若手採用の切り札「奨学金代理返還制度」による採用力強化と離職防止
一般社団法人クレア人財育英協会は、「求人を出しても人が集まらない」「紹介会社に高い手数料を払ってもすぐに辞めてしまう」と悩む企業の経営層・人事労務担当者向けに、採用力強化と離職防止の強力な武器となる『奨学金の企業代理返還制度』の実務活用法を解説する最新動画を公開いたしました。新規大卒就職者の3年以内離職率が中小企業で5割を超える深刻な現状の中、当協会の特定社会保険労務士・小野純が、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の制度を活用し、会社の経費(損金算入による課税優遇)で若手人材の定着率を劇的に高める画期的な手法を徹底解説します。
1. 若手人材の半数以上が抱える「奨学金」という重い負債
現在の求人市場は空前の売り手市場(人の取り合い)であり、せっかく採用した若手人材が早期離職してしまうケースが後を絶ちません。その背景の一つに、社会人としてのスタートラインですでに数百万円の奨学金という「負債」を抱え、毎月の給与から返済を続けなければならない若者の経済的な不安があります。現在、学生の半数以上が何らかの奨学金を利用して進学していると言われており、企業側がこの「リアルな悩み」に直接アプローチできるかどうかが、人材獲得競争を勝ち抜く大きなカギとなります。
2. 令和6年度で3,000社が導入!「企業の代理返還制度」とは
そこで今、採用の新たな切り札として急速に注目を集めているのが、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)が提供する「企業の奨学金返還支援(代理返還)制度」です。これは、雇用主である企業が、従業員本人に代わって奨学金を直接JASSOへ返済する仕組みであり、令和6年度時点で既に3,000社以上の企業が登録し、12,000人以上の若手人材が支援を受けています。
3. 企業が本制度を導入する「4つの絶大なメリット」
紹介会社に多額の手数料を支払う従来型の採用活動と比較して、本制度の導入には企業側に以下の4つの明確なメリットがあります。
- ① 「若手人材」への直接アプローチと人材確保:制度を導入している企業は機構のHPに掲載されるため、奨学金を返済中の学生が就職先を選ぶ際の強いインセンティブ(選択の幅の拡大)となります。
- ② 「人材の定着」による圧倒的な離職率低減:自らの負債を肩代わりしてくれる会社に対し、従業員は強い恩義と信頼感(ロイヤルティ)を感じます。結果として、支援を受けている社員は他社員と比較して離職率が極めて低くなります。
- ③ 経費の一部としての「課税優遇(損金算入)」措置:企業がJASSOへ直接送金した支援額は、従業員への「給与」としては扱われません。そのため、所得税等の負担が増えることなく、企業側も全額を「損金(経費)」として算入でき、法人税等の負担軽減につながります。
- ④ 企業等の「イメージ向上」とモチベーションアップ:従業員からは「浮いたお金を貯金に回せる」「将来の成長について考える時間ができた」「会社への信頼感が強くなった」という声が多く挙がっており、支援終了後も高いモチベーションが維持されます。
4. 【実例】制度を導入した企業のリアルな声と支援要件
実際に本制度を導入し、人材確保や離職防止に成功している企業の実例をご紹介します。支援要件(金額や期間)は企業が柔軟に設計できる点も大きな魅力です。
| 企業規模・業種 | 支援要件(ルール)の例 | 導入のきっかけと効果 |
|---|---|---|
| A社(東京都) 宿泊・飲食サービス業 従業員数:約1,800人 |
毎月返還月額と同額を支援。 支援上限額200万円、支援期間最大5年(現在8年への延長を検討中)。 |
業界柄、退職率が高いことに危機感を感じ導入。支援している社員は他の社員と比べて退職率が非常に低くなっており、雇用安定の大きなきっかけとなっている。 |
| D社(福島県) 建設業 従業員数:約150人 |
毎月最大2万円を支援。 支援上限額や支援期間に上限は設けない(インパクトを重視)。 |
採用が難しい建設業において、福利厚生を向上させる目的で導入。企業合同説明会でも学生の関心を惹き、離職率の低下や税制上の優遇という強力なメリットを実感している。 |
5. 奨学金代理返還制度に関するよくある疑問と回答
企業の人事担当者様から多く寄せられる、制度活用における重要ポイントをQ&A形式で整理しました。
Q. 従業員の給与に「奨学金手当」として上乗せして支払うのと何が違うのですか?
A. 税務上の扱いが根本的に異なります。代理返還でなければ企業側の税制メリットは受けられません。
手当として従業員の給与口座に上乗せして振り込んだ場合、それは「給与」とみなされ、従業員自身の所得税や社会保険料の負担が増加してしまいます。JASSOの制度を利用して機構へ「直接送金(代理返還)」することで、初めて非課税での支援(会社の損金算入)が認められます。
Q. 支援する金額や対象者は、会社が自由に決めることができますか?
A. はい、企業の予算や採用戦略に合わせて柔軟に設計することが可能です。
「毎月〇万円を上限とする」「入社〇年目までの社員を対象とする」「新入社員だけでなく既存社員も対象に含める」など、自社の規定に合わせて就業規則や賃金規程を整備することで、中小企業でも無理なく制度を運用することができます。
6. 報道関係者・メディア様向け個別取材・質問会のご案内
一般社団法人クレア人財育英協会では、若手人材の採用・定着施策をはじめ、最新の労働法対応やハラスメント防止対策に関するメディア関係者様からの取材・企画協力を随時承っております。
- ・内容:報道関係者・メディア・企業向け(個別取材・情報提供・コメント寄稿)
- ・日時:随時対応(オンライン対応・電話取材可。貴社のスケジュールに合わせ柔軟に調整いたします)
- ・費用:無料
- ・備考:専門家(特定社労士)としての客観的な事例提供や、採用コスト削減の具体的なシミュレーション解説が可能です。
7. 一般社団法人クレア人財育英協会の視点(当協会の役割)
「奨学金代理返還制度」のような優れた福利厚生を導入することは、若手人材の確保において極めて強力な武器になります。しかし、入社後の職場環境にハラスメントが蔓延し、人間関係が劣悪であれば、いくら経済的な支援があっても若手人材は定着しません。当協会が育成する『雇用クリーンプランナー』は、こうした最新の労務施策の知識と、労働条件・人間関係のトラブルを未然に防ぐ実務能力を併せ持つ専門人材です。社内に有資格者を配置することで、人事労務担当者が中心となって風通しの良い組織を構築し、制度の魅力を最大限に活かした「若手人材が長く安心して働ける環境づくり」を強力にサポートします。
